ビブリア古書堂の事件手帖Ⅲ ~扉子とうつろな夢~
記録を残したいとはいえ、やはり感想を書くっていうことには若干緊張しております(笑)人様に見せられるようなものになるのか…。
さて、今回は「ビブリア古書堂の事件手帖」の最新刊の感想を残したいと思います。
「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズはもう11年も続いているとのことで、私もその頃に出会い読み続けているシリーズになります。毎回楽しみにしていて、新刊が出るとわかればネットで予約するか、発売日に本屋さんに行くほどです。
ここからネタバレ↓↓
今回もビブリア古書堂の篠川栞子の元に依頼が持ち込まれます。
今回主に事件解決に動いたのは栞子の夫・大輔と娘の扉子でした。栞子は運悪く海外でのお仕事。ですが頼れる夫と娘から詳細を聞き、帰国してからはしっかり真相にたどり着きました。残念なことにはなりましたが…。扉子の母親顔負けの推理もちゃんと炸裂していました。
依頼者、樋口佳穂の元夫は杉尾康明といい、虚貝堂という古書店の跡取り息子で、最近若くしてがんで亡くなってしまいました。康明はいわゆる本の虫。自分を『本から作られた人間』と称していました。その康明の蔵書数は千冊。それは佳穂と康明の息子である樋口恭一郎に遺品として相続されなければなりません。ところがその虚貝堂の店主であり、康明の父、杉尾正臣は近く開催される古書即売会でその蔵書を勝手に売り払おうとしているというのです。なぜ正臣はそんなことをしようとしているのか…。
実は佳穂はその蔵書をすべて、息子に触れさせることなく消し去ろうとしていたのです。そのために手に入れたかった。それを知った正臣のなりの蔵書の守り方だったのです。
康明は、よく読書旅行と称して、ゆっくり本を読むための旅に出ており、恭一郎が産まれる少し前にも旅行に出たのですがそのまま失踪し、何年か後に事故で記憶をなくした状態で見つかっていました。そして記憶は戻ることなく亡くなったのです。
佳穂は康明の失踪後離婚の手続きを取り、その後別の男性と結婚していましたが、実は息子を康明のように失ってしまうことを極度に恐れていたのです。だからこそ息子を本から徹底的に遠ざけていました。
ところが佳穂の知らぬところで、恭一郎は即売会を手伝うことになり、全く興味がなかった本に、それも生まれる前に別れたきり時々義務として会う程度の存在だった父に影響を与えてきた本たちに出会ってしまいました。
佳穂と正臣は、息子を失わないために、息子を守るために本を失くそうとした母親と、息子を失って、息子の大事な思いを守るために本を失くしたくない父親でした。反対なんですよね。でもどちらも守りたいのは“息子”なんですよね。複雑な気持ちです。
本を巡ってこれだけの思いと感情が交錯する。古書は多くの人の手に渡り、多くの人に少なからず何かを残し、多くの人の思いを見ながら時代を超えて今に有り、そしてまた次の時代に引き継がれていくんでしょうね。
そして私は、康明の『本から作られた人間』という言葉がとても印象に残りました。私自身も物心つく前から本が好きだったそうで、本があることが当たり前だったせいかもしれません。本は自分の知らない世界、知識を教えてくれます。そこから学ぶこと、影響を受けることは多々あると私は思います。そう考える私もきっと『本から作られた人間』なのかもしれないなと思ってしまいます。
更に、栞子の母・智恵子がこの事件の裏で暗躍していた事実もわかったラストでしたがこの智恵子のなそうとしていることが何なのか、引き続き気になりましたね。
長くなりました。誤字脱字があっても気にしないでください。
ここまで目を通していただきありがとうございました。